仮想化基地局(vRAN)がAIアプリを動かす!未来のスマホ体験がより快適に
近年、生成AIやロボット制御といったAIを活用したサービスが急速に普及しています。これにより、私たちのスマホやPCを通じたデータ通信量(ネットワークトラフィック)は爆発的に増加すると見込まれており、ネットワークの負荷増大が課題となっています。
こうした状況に対応するため、NTTドコモは、AI処理をネットワークの内部で実行する「In-Network Computing」という次世代ネットワークの検討を進めてきました。これは、データが流れるネットワークの「中」でAIなどの計算処理を行うことで、データを遠くまで送る手間を省き、より高速で効率的なサービス提供を可能にする考え方です。まるでネットワーク自体が賢くなるようなイメージです。
vRAN基盤でAIアプリ運用に成功
今回、NTTドコモは、商用ネットワークに導入している仮想化基地局(vRAN)の汎用サーバ基盤とCPUリソースを活用し、AIアプリケーションをネットワーク内部で運用する実証に成功しました。
仮想化基地局(vRAN)とは?
これまでの基地局は、特定の機能に特化した専用の機器で構成されていました。しかし、vRAN(virtualized Radio Access Network)は、汎用的なサーバーにソフトウェアを導入することで、基地局の機能を仮想的に実現する技術です。これにより、ネットワークの構築や運用がより柔軟になり、コスト効率も向上します。
CPUリソースの活用
vRANの汎用的なサーバーに搭載されるCPU(中央演算処理装置)は、コンピューターの「脳」にあたる部分で、様々な計算処理を行います。今回の実証では、このCPUリソースを通信処理だけでなく、AIアプリケーションの実行にも同時に活用できることを確認しました。これにより、専用の高性能アクセラレータ(特定の演算処理を高速化する装置)に依存することなく、ネットワーク機能とAI機能を柔軟に組み合わせた運用が可能となり、効率的なネットワーク構築に向けた有効な選択肢が広がります。

サービス系AIアプリ運用の統合基盤
NTTドコモは、vRANとAIサービスを同時に動作させる統合基盤を構築しました。この統合基盤により、CPUを用いた場合でも、通信処理を行いながら一定のAI処理を並行して実行できます。これにより、ユーザーはよりスムーズで応答性の高いAIサービスを体験できるようになるでしょう。

本実証には、以下の製品の組み合わせから構成されるvRANが用いられました。
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vRANの基地局ソフトウェア:日本電気株式会社
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vRANおよびAIアプリを搭載する仮想化基盤:アマゾン ウェブ サービス (AWS)
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特定の演算処理を高速化するためのアクセラレータカード:Qualcomm Technologies, Inc.
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以上の製品を搭載するサーバー:HPE
私たちのデジタルライフがもっと快適に
この技術が進むことで、例えばスマホアプリでのAI処理がこれまで以上に高速になったり、クラウドにデータを送らずにネットワークの近くでAIが処理を行うことで、遅延の少ないリアルタイムなサービスが実現したりする可能性があります。これにより、私たちのデジタルライフが、これまで以上に快適で豊かなものになることが期待されます。
NTTドコモは今後、実際の通信トラフィックの特性や、様々なAIアプリケーションの要件を踏まえながら、CPUやGPU(画像処理に特化した計算装置)などのコンピューティングリソースの最適な配置を検討・推進していきます。ネットワーク基盤とAIサービス基盤のさらなる統合・検証を進め、商用サービス化に向けた検討を継続するとのことです。
この取り組みは、2026年3月2日(月)から5日(木)にかけてスペイン・バルセロナで開催される「Mobile World Congress Barcelona 2026」において、NTTグループブースにて展示される予定です。
関連情報
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https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2024/02/21_00.html -
6G時代の高機能サービスの利用に向け、ネットワークとサービスの連携によるコンピューティングサービスのオンデマンド一括制御の実証に成功
https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2025/03/03_01.html