2026.03.26 業界最新情報

あなたのスマホがもっと賢く、速くなる!AIが実現する次世代アンテナ最適化技術とは

常に最適な通信環境をAIが自動で実現

スマートフォンやPCを使う上で、「電波が悪い」「動画の読み込みが遅い」といった経験はありませんか? これらの問題の多くは、デバイスのアンテナ性能が、その時の利用状況に最適化されていないことが原因かもしれません。

今回、アンリツ株式会社、韓国の通信事業者SK Telecom、浦項工科大学校(POSTECH)、そしてスウェーデンのBluetest社の4者が共同で、AIを活用してアンテナ性能を最適化する技術の検証を実施しました。この技術は、私たちのデジタルライフをより快適にする可能性を秘めています。

AIが「賢い判断」で通信品質を向上

この共同検証の目的は、実際にデバイスを使用する環境(手で持ったり、頭の近くに置いたりする状況)を反映した計測データに基づき、アンテナの性能を客観的に評価し、改善する新しいアプローチを提示することです。

検証では、複数のアンテナを使って高速通信を実現する技術であるMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)の計測データが活用されました。MIMOでは、複数のアンテナがどれだけ独立して機能しているかを示すECC(Error Correlation Coefficient)という指標が重要になります。このECCが低いほど、アンテナが効率的に機能し、通信性能が向上します。

AIは、アンテナの状態やユーザーの持ち方といった多様な状況におけるRF(無線周波数)性能の違いを学習し、リアルタイムで最も良いアンテナ構成を自動で選択します。これにより、電波状況が刻々と変わる中でも、常に通信品質を高いレベルで維持できるようになります。

最大で2倍以上の通信速度改善も

検証の結果、驚くべき成果が確認されました。例えば、8本の受信アンテナ(8Rx)構成では、様々なユーザーの利用状況において通信速度(スループット)が大幅に向上しました。さらに、4本の送信アンテナ(4Tx)構成では、最大で2倍以上のスループット改善が確認されています。

これは、AIがアンテナの最適な切り替え状態を導き出すことで、私たちのスマホが、よりスムーズに動画を再生したり、大容量のファイルをダウンロードしたりできるようになることを意味します。

検証を支えたアンリツの測定技術

今回の画期的な検証には、アンリツの最先端測定機器が使用されました。

  • ラジオコミュニケーションテストステーション MT8000A
    5G NRデバイスの検証に使われるこの装置は、複数のアンテナを用いたMIMO性能の解析や通信速度の評価において、AI解析に必要な信頼性の高いデータを提供しました。実際の使用環境に近い状態で、安定したRF試験環境を実現します。
    製品詳細: https://www.anritsu.com/ja-jp/test-measurement/products/mt8000a

  • ユニバーサルワイヤレステストセット MT8870A
    この汎用RF計測プラットフォームは、アンテナごとのRF特性評価や、アンテナ切り替え時の性能比較に用いられました。AI解析の基礎となる、アンテナパスごとの詳細なデータ取得に貢献しています。
    製品詳細: https://www.anritsu.com/ja-jp/test-measurement/products/mt8870a

これらの機器が、ケーブルを使わず無線で(Over-the-Air: OTA)デバイスの性能を評価する環境で、高精度なデータ収集を可能にしました。

私たちの未来の通信環境への期待

今回の共同検証は、2026年に開催された世界最大規模のモバイル通信関連展示会「MWC Barcelona 2026」でも紹介されました。この技術がさらに発展すれば、近い将来、私たちのスマートフォンやPCは、いつでもどこでも、まるで専属の通信エンジニアがいるかのように、最適な通信環境を自動で作り出してくれるようになるでしょう。

動画視聴中の途切れや、オンライン会議中の不安定さなど、通信に関するストレスが大幅に軽減される未来が、もうすぐそこまで来ています。

アンリツの製品やソリューションに関する詳細情報は、以下のリンクからご覧いただけます。

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