2026.08.01 業界最新情報

ウェハーレベルSiP市場が2035年に246億ドル規模へ成長予測:私たちのデバイスはどう進化する?

ウェハーレベルSiP市場の成長がもたらす未来のデバイス進化

スマートフォンやPCが、より薄く、軽く、そしてパワフルになる秘密の一つに、「System-in-Package(SiP)」という技術があります。特に「ウェハーレベルSiP」は、この進化を加速させる鍵として注目を集めています。

SDKI Analyticsが2026年6月24日に発表した最新の調査レポート「Wafer-Level System-in-Package (SiP) Market(ウェハーレベル システム-イン-パッケージ市場)」によると、この市場は2025年の約88億米ドルから、2035年には約246億米ドルへと成長すると予測されています。予測期間中の年平均成長率(CAGR)は、約11.2%と見込まれており、その成長は私たちのデバイス利用体験を大きく変える可能性を秘めています。

ウェハーレベルSiP市場の調査結果

より詳細なレポートの洞察は、以下のURLで確認できます。
https://www.sdki.jp/reports/wafer-level-system-in-package-sip-market/590642490

SiP(システム-イン-パッケージ)とは?

SiPとは、複数の異なる半導体チップ(例えば、プロセッサ、メモリ、センサーなど)を、あたかも一つの大きなチップであるかのように、一つのパッケージにまとめて搭載する技術のことです。

これにより、個々のチップを別々に配置するよりも、

  • 小型化: デバイスの内部空間を節約し、より薄く軽い製品設計が可能になります。

  • 高性能化: チップ間の距離が短縮され、信号伝達の遅延が減少し、処理速度が向上します。

  • 低消費電力化: 効率的な電力供給が可能になり、バッテリー寿命の延長に貢献します。

ウェハーレベルSiPは、半導体製造の初期段階であるウェハー(円盤状のシリコン基板)の状態でパッケージングを行うため、生産効率が向上し、コスト削減にもつながると期待されています。

市場成長の背景にある要因

SDKI Analyticsの分析によると、ウェハーレベルSiP市場の成長は主に以下の要因に支えられています。

国家主導のインフラ投資拡大

米国、EU、韓国などの各国政府は、ウェーハレベル・ファンアウト・パッケージング(FOWLP)生産能力の確保に戦略的に投資しています。例えば、米国商務省はCHIPS法に基づき、2025年1月に14億米ドルの助成金を確定させており、その中にはアリゾナ州立大学への100百万米ドルが含まれています。このような政府による資金提供は、新たな生産ラインの認定コストを削減し、業界全体の生産能力を押し上げています。

車両の電動化とADASの進展

電気自動車(EV)への世界的な移行と、先進運転支援システム(ADAS)の普及は、自動車1台あたりの半導体部品の数を構造的に増加させています。国際エネルギー機関(IEA)の「Global EV Outlook 2026」によれば、2025年の世界EV販売台数は2,000万台を超え、特にヨーロッパでは30%以上、中南米では75%を超える成長が見られています。EVやADAS関連の機能は、より多くのパッケージ化されたシリコンを搭載するため、自動車分野におけるSiPパッケージングの需要は、長期的に安定した基盤へと変化しつつあります。

注目される業界の動向

ウェハーレベルSiP市場では、企業間の提携や技術開発が活発に行われています。2026年6月には、TSMCとAmkor Technologyがアリゾナ州における先端半導体パッケージング・テスト能力の拡大を目指し、10年間の契約を締結すると発表しました。これは、両社が共同で能力を拡大し、TSMCがAmkorから先端パッケージング・テストサービスを調達するというものです。

私たちのデバイスにもたらされる恩恵

SiP技術は、私たちが日常的に使うスマートフォンやPCに、どのようなメリットをもたらすのでしょうか。

スマートフォンの通信性能向上

特にRFデバイス(5G/6Gモジュール)の分野でSiPは重要な役割を果たします。SiPは、スマートフォンや基地局などの機器において、RFフロントエンド・アプリケーションの小型かつ低損失な統合を可能にします。国際電気通信連合(ITU)の報告書「Facts and Figures 2025」によると、5Gの契約数は世界のモバイルブロードバンド契約全体の約3分の1(約30億回線)を占めており、これは小型で高周波に対応したパッケージング・ソリューションへの継続的な需要を裏付けています。

これにより、皆さんのスマートフォンは、より高速で安定した通信が可能になり、動画ストリーミングやオンラインゲームが、より快適に楽しめるようになるでしょう。

多様なデバイスへの応用

SiPはRFデバイスだけでなく、

  • MEMS(微小電気機械システム)およびセンサー: スマートフォンやウェアラブルデバイスに搭載される加速度センサーやジャイロセンサーなどの小型化・高性能化に貢献します。

  • 電源管理IC(PMIC): デバイスの電力効率を高め、バッテリーの持ちを良くします。

  • ロジックICおよびメモリIC: PCやサーバーの処理能力向上と省電力化に寄与します。

これらの応用により、私たちが使うデバイスは、さらに賢く、便利になることが期待されます。

地域別の市場概況

ウェハーレベルSiP市場は、地域によって異なる成長を見せています。予測期間中、アジア太平洋地域が世界市場の45.0%という最大のシェアを占め、市場を牽引すると予測されています。この成長は、ウェーハレベル・パッケージングやファンアウト・パッケージングの製造拠点が集中していること、および半導体後工程受託製造(OSAT)事業者が多数存在することに起因しています。

特に、台湾、中国、韓国が市場をリードしており、米国議会調査局の予測によれば、2024年から2032年にかけても、これらの設備投資面での優位性により、アジア太平洋地域は生産における主導的地位を維持すると見られています。

日本においても、政府による先端パッケージング技術への投資を背景に、ウェハーレベルSiP市場は堅調な成長を遂げると予測されています。経済産業省は2024年3月、先端パッケージング技術を推進するプロジェクトの採択を発表し、2023年度に540億円の政府支援を受けています。これにより、日本の半導体エコシステム内での地位が強化されるでしょう。

市場を牽引する主要企業

世界のウェハーレベルSiP市場における主要企業は以下の通りです。

  • Amkor Technology

  • ASE Group

  • Intel

  • Samsung Electronics

  • STMicroelectronics

また、日本市場における上位5社は以下の通りです。

  • Toshiba Corporation

  • Renesas Electronics

  • Sony Semiconductor Solutions

  • Ibiden

  • Shinko Electric Industries

まとめ

ウェハーレベルSiP市場の成長は、単なる半導体業界のトレンドに留まらず、私たちのデジタルライフをより豊かにするスマートデバイスの進化に直結しています。この技術の発展により、スマートフォンはさらに高速に、PCはよりパワフルに、そして電気自動車はより賢く、安全になることでしょう。

SDKI Analyticsは、この市場の動向を詳細に分析したレポートを提供しています。無料サンプルレポートや試読版の請求は、以下のリンクから可能です。

関連する市場調査レポートも参照することで、半導体業界全体の理解を深めることができます。

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