2026.04.29 業界最新情報

スマホの小型化・高性能化を支える!MLCC内部電極用ニッケルペースト市場、2032年には約1.5倍に成長予測

あなたのスマホやPCを支える「MLCC」とは?

スマートフォンやPC、家電製品など、私たちの身の回りにあるほとんどの電子機器には、「MLCC(積層セラミックコンデンサ)」という小さな電子部品が使われています。これは、電気を蓄えたり、ノイズを除去したりする重要な役割を担っており、電子機器の安定した動作には欠かせません。まるで、電子回路の小さな「ダム」や「フィルター」のような存在です。

このMLCCの性能を左右する重要な要素の一つが、内部電極に使われる「ニッケルペースト」です。ニッケルペーストとは、微細なニッケル粒子を樹脂や溶剤に分散させた導電性の材料で、セラミックシートに塗布され、焼き固められることで電極となります。従来の貴金属(パラジウムなど)に比べてコストが低く、高容量化や小型化に適しているため、現代の電子機器の進化に大きく貢献しています。

MLCC内部電極用ニッケルペーストの製品画像

MLCC内部電極用ニッケルペースト市場の成長予測

YH Research株式会社の最新レポート「グローバルMLCC内部電極用ニッケルペーストのトップ会社の市場シェアおよびランキング 2026」によると、MLCC内部電極用ニッケルペーストの世界市場は、2026年の3274百万米ドルから2032年には4880百万米ドルに成長すると予測されています。これは、2026年から2032年の間に年平均成長率(CAGR)6.9%で着実に拡大していくことを示しています。

グローバルMLCC内部電極用ニッケルペーストのトップ会社の市場シェアおよびランキング 2026

市場成長を牽引する3つの要因

この市場の力強い成長には、主に以下の3つの要因が挙げられます。

1. 電子機器の小型化・高容量化ニーズ

スマートフォン、5G通信機器、そして最新の車載電子機器など、高性能化が進むにつれて、電子部品にはより一層の小型化と高容量化が求められています。MLCC内部電極用ニッケルペーストは、高積層化に対応できる薄膜電極の形成を可能にし、これらのニーズに応えています。これにより、私たちのスマホはよりスリムに、PCはよりパワフルになるのです。

2. 貴金属代替によるコスト削減

かつてMLCCの電極にはパラジウムなどの高価な貴金属が使われていました。しかし、ニッケルはパラジウムに比べて大幅にコストが低く、量産性にも優れています。このコスト優位性により、メーカーは製品の製造コストを抑え、結果として私たちの手元に届く電子機器の価格にも良い影響を与えています。

3. グローバルな電子産業の成長

アジア太平洋地域を中心に、電子機器の製造拠点が拡大しています。特に中国、韓国、日本のコンデンサメーカーが市場の成長を牽引しており、世界中で電子機器の需要が高まるにつれて、MLCC内部電極用ニッケルペーストの需要も継続的に増加しています。

今後の発展チャンス:未来の技術を支えるニッケルペースト

1. 電気自動車(EV)・自動運転技術の進展

電気自動車(EV)やADAS(先進運転支援システム)の高度化は、高信頼性・耐熱性を備えたMLCCの需要を急増させています。これらの分野では大量かつ高品質なコンデンサが必要とされ、ニッケルペーストはEVのより安全で効率的な走行を支える重要な技術となるでしょう。

2. 小型・高容量MLCCへの技術シフト

電子機器のさらなる小型化は止まりません。これに対応するため、より薄い誘電体層と高積層構造を持つMLCCが求められています。分散性や焼結特性に優れたニッケルペーストの開発が進むことで、高付加価値製品市場での成長機会が拡大すると考えられます。

3. 省エネルギー・環境対応材料への移行

持続可能性への関心が高まる中、貴金属代替としてのニッケルベース材料の採用はさらに進むでしょう。低コストかつ環境負荷の低い材料として、ニッケルペーストは「グリーン電子部品」市場において重要な成長分野となっています。

事業発展を阻む主要課題

市場の成長が見込まれる一方で、いくつかの課題も存在します。

1. 原材料価格の変動と供給リスク

主要原料であるニッケルは国際市況の影響を受けやすく、価格変動が大きい特徴があります。そのため、コストの安定性確保が難しく、製品価格や利益率に影響を及ぼす可能性があります。また、資源供給における地政学的リスクも長期的な課題です。

2. 高度な製造技術と品質管理の難しさ

ニッケルペーストにはナノレベルの粒子分散性や焼結特性が要求されるため、製造プロセスには高度な制御が必要です。わずかな分散不良や粒径のばらつきが電気特性に大きく影響するため、安定した品質確保が技術的な障壁となっています。

3. 環境規制と製造コストの上昇

環境規制の強化により、溶剤や添加剤の選定に制約が生じ、製造プロセスの複雑化を招いています。これにより、開発コストや製造コストが上昇し、市場競争力に影響を与える可能性も指摘されています。

まとめ

MLCC内部電極用ニッケルペースト市場は、私たちの身近な電子機器の進化を支え、未来のテクノロジーを形作る上で不可欠な存在です。市場の成長は多岐にわたる要因に後押しされていますが、同時に技術的・経済的な課題も抱えています。これらの課題を乗り越え、さらなる技術革新が進むことで、より高性能で使いやすいスマホやPC、そして新しい電子機器が私たちの生活を豊かにしてくれることでしょう。

本記事は、YH Researchが発行したレポート「グローバルMLCC内部電極用ニッケルペーストのトップ会社の市場シェアおよびランキング 2026」の内容を紹介しています。

レポートの詳細内容や無料サンプルのお申込みは、以下のリンクからご確認ください。
https://www.yhresearch.co.jp/reports/1470162/nickel-paste-for-mlcc-inner-electrode

YH Research株式会社について:
https://www.yhresearch.co.jp

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