2026.06.22 業界最新情報

日本とマレーシアがAI半導体でタッグ!省電力AIチップ共同開発で「グリーン・トランスフォーメーション」を加速

リコンフィギャラブルAI半導体チップとは?

「リコンフィギャラブルAI半導体チップ」とは、FPGA(Field Programmable Gate Array、現場で書き換え可能なLSI)を基盤とし、AIの用途に応じて内部の回路構成を自由に変更できる半導体チップのことです。これにより、さまざまなAI処理に柔軟に対応しながら、電力消費を抑えることが可能になります。

日馬共同声明を具現化する民間主導の連携

今回の提携は、2026年6月10日に発表された日馬共同声明(第16項)において、両国首脳が「グリーン・トランスフォーメーションに貢献するAI及び半導体関連分野における日・マレーシア協力のための民間主導の戦略的連携枠組み」として歓迎した方針に合致するものです。この連携は、両国の持続可能な産業発展に貢献することを目指しています。

フォーラムでは、TAIの中原啓貴CEO・CTOとOppstar社CEOのNg Meng Thai氏が共同で登壇し、「日本発・フィジカルAI半導体の最前線 〜現場実装から日馬共創へ〜」をテーマに講演を行いました。現実世界の産業課題を解決するフィジカルAI半導体の具体的な実装事例や、日本とマレーシアの協調がもたらす次世代半導体サプライチェーンの可能性について議論され、大きな反響を呼びました。

AI半導体に関する講演会の様子

また、フォーラム内で行われたSCF締結式には、駐マレーシア日本国大使の四方敬之氏と、マレーシア投資貿易産業省(MITI)副大臣のYB Tuan Sim Tze Tzin氏も同席し、両社の連携に期待を寄せました。

契約締結式の様子

提携の背景と目的:AIの電力問題とGXへの貢献

AIの社会実装が加速する中で、その演算処理に伴う膨大な電力消費は、日本とマレーシア共通の課題となっています。これはAIのさらなる進化を阻むだけでなく、環境負荷の観点からも問題視されています。

こうした状況を受け、日馬両国政府は共同声明で、安全・安心で信頼できるAIエコシステムの構築や「日マレーシア AI プラットフォーム」の設立、さらにはアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の枠組みを通じた脱炭素化の推進など、国を挙げた連携方針を打ち出しています。特に、GX(グリーン・トランスフォーメーション)に貢献するAI・半導体分野での民間主導の戦略的連携は、両国首脳からも高く歓迎されています。

マレーシアは2024年に始動した「国家半導体戦略(NSS)」のもと、従来の製造・封止拠点から「グローバルなIC設計およびハイエンド製造のハブ」への転換を国策として推進してきました。Oppstar社も省電力AI半導体チップの設計・開発に意欲的であり、TAIとは2026年3月に半導体開発に向けたSoW(Statement of Work:作業範囲記述書)を締結するなど、関係を深めています。

今回のSCF締結は、TAIのAI技術とOppstarの半導体設計技術を融合させ、省電力AIチップの市場投入を加速させることを目的としています。これにより、日馬両国の政策課題であるGXに貢献するだけでなく、半導体人材やAIエンジニアの育成、技術交流にも寄与し、両国の経済的な発展を目指します。

主な取り組み内容

  1. 低消費電力AI半導体チップの共同開発
    両社の知見を結集し、従来の汎用的な半導体チップと比較して消費電力を抑えたリコンフィギャラブルAI半導体チップの設計・開発を進めます。2026年7月にはテストチップの完成が予定されています。
  2. GXへの貢献
    AI半導体チップの開発を通じて、クラウドへの依存を減らし、エッジ側での効率的なAI処理を実現します。これにより、通信量と消費電力を削減し、持続可能なAI社会の実現に貢献します。
  3. 人材育成および技術交流
    AI半導体チップの共同開発やワークショップの開催を通じて、半導体設計人材、AIエンジニア、システムアーキテクトなどの育成と技術交流を促進します。

両社代表からのコメント

Tokyo Artisan Intelligence(TAI)
「AIの普及に伴う電力問題は、世界共通の課題です。当社のAI技術とOppstar社の設計力を結集し、この課題を解決できる低消費電力AI半導体チップの市場投入を目指します。本提携を通じて、マレーシアの技術発展と持続可能なAI社会の実現に貢献してまいります。」

Oppstar
「日本発の革新技術を持つTAI社との提携を光栄に思います。すでにSoWを通じた実務も進んでおり、今回のSCFによって開発をさらに加速させていきます。今回のプロジェクトを日本とマレーシアの協力の象徴として、低消費電力AI半導体チップの市場投入を共に成功させます。」

企業情報

  • Oppstar社
    フロントエンドからバックエンドまで包括的な半導体エンジニアリングサービスを提供。先端プロセスノードを用いた複雑なSoCおよびASICの設計・開発を専門とし、エンドツーエンドのフルターンキーソリューションを展開しています。AI、通信、車載、産業オートメーションなど、グローバル市場の高成長産業に向けて高度な技術支援を行っています。
    会社HP:https://www.oppstar.com.my/

  • Tokyo Artisan Intelligence株式会社(TAI)
    深層学習アルゴリズムの研究開発、エッジAIプロダクトの開発および販売、AIエキスパート・エンジニアの育成を手掛けています。
    会社HP:https://tokyo-ai.co.jp/

私たちの未来を変えるAI半導体

AI技術が私たちの生活に深く浸透する中で、その進化を支える半導体の省電力化は不可欠な要素です。今回の日本とマレーシアによる共同開発は、AIがもたらす電力消費の課題を克服し、地球環境にも優しい「グリーン・トランスフォーメーション」を推進する重要な一歩となるでしょう。

この低消費電力AIチップは、スマホやPCはもちろん、IoTデバイスや自動運転車など、あらゆるエッジデバイスでのAI処理を効率化し、バッテリー寿命の延長やリアルタイム性能の向上に貢献する可能性があります。技術の進展が、より便利で持続可能な社会の実現に繋がることに期待が寄せられます。

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