スマートフォン利用拡大で高まる「上り通信」の重要性
近年、スマートフォンの普及とともに、私たちが送受信するデータ量は飛躍的に増加しています。特に、SNSへの動画投稿、クラウドサービスへの写真・動画のアップロード、オンラインゲームやビデオ会議など、ネットワークへデータを送る「上り通信(アップリンク)」の重要性が増しています。
データ量の増加はネットワークへの負荷を高め、通信速度の低下や遅延を引き起こす可能性もあります。このような課題を解決し、限られた周波数資源をより効率的に活用するために、新たな技術が求められています。
5Gをさらに進化させる「アップリンクデータ圧縮(UDC)」とは?
アンリツ株式会社とQualcomm Technologies, Inc.は、モバイル端末(UE:User Equipment)から5Gネットワークへ送信される上り通信のデータ伝送を効率化する「アップリンクデータ圧縮(UDC)」に関する3GPP Release 17の試験項目の検証に共同で成功しました。

UDCは、送信するデータに含まれる冗長な部分(重複したデータなど)を圧縮することで、ネットワークへ送出されるデータ量そのものを削減する技術です。これまでのヘッダ圧縮技術(ROHCなど)が、データに付加されるヘッダ情報のみを対象としていたのに対し、UDCは送信データ全体を効率化します。これにより、同じ量の情報を送るのに必要なデータ量が減り、通信の効率が大幅に向上します。
この技術が実用化されれば、スマートフォンからの動画アップロードがより速くスムーズになったり、オンラインゲームやビデオ会議での遅延が軽減されたりするなど、私たちの日常的なモバイル体験が大きく改善されるでしょう。
アンリツとQualcommによる共同実証の意義
今回の共同実証では、アンリツの5G NR モバイルテストプラットフォーム「ME7834NR」と、Qualcomm® X105 5G Modem-RF Systemを搭載したモバイル端末(UE)が使用されました。この検証を通じて、3GPP(移動体通信システムの標準化プロジェクト)の技術仕様であるTS 38.523-1で定義されたUDCの試験項目が正確に評価されました。
この成功は、モバイル端末への最新UDC機能の実装と評価を効率的に進める道を開くものです。つまり、通信機器メーカーや端末ベンダーがUDC機能を製品に組み込み、その性能を検証するプロセスが加速されることになります。結果として、より早くUDC対応のデバイスが市場に登場し、消費者はその恩恵を受けられると期待されます。
アンリツ株式会社のモバイルソリューション事業部長は、今回の協業が「UDC機能の正確な検証を通じて、通信事業者および端末ベンダーによるアップリンクスループットとネットワーク効率の向上に貢献する」と述べています。
ME7834NR:5G NRモバイルテストプラットフォーム
今回の共同実証で使用された「ME7834NR」は、モバイル端末の認証を行うGCF(Global Certification Forum)やPTCRB(PCS Type Certification Review Board)にも登録されている、信頼性の高いテストプラットフォームです。5G NRのStandalone(SA)およびNon-Standalone(NSA)の両モードに加え、LTEなどの多様な無線アクセス技術に対応しており、3GPP準拠のプロトコルコンフォーマンステスト(PCT)および事業者受入試験(CAT)に活用されています。
ME7834NRに関する詳細情報は、以下のリンクから確認できます。
ME7834NRの詳細
未来の5G体験へ
今回のアンリツとQualcommによる共同実証は、5G通信のさらなる進化に向けた重要な一歩です。UDC技術が広く普及することで、私たちは限られた周波数資源の中で、より高速で安定した上り通信を享受できるようになるでしょう。スマートフォンを通じたコミュニケーションやコンテンツ作成が、今よりもずっと快適になる未来がきっと訪れるはずです。
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