FastNeuraが描く「人間とAIの共進化」
FastNeuraは、脳波や心拍といった私たちの身体から得られる多様なデータ(マルチモーダル生体データ)とAIを組み合わせることで、人間の集中度、疲労、ストレス、感情などの状態を推定する技術を開発しています。さらに、この推定結果をもとに、周囲の環境やデバイス、AIアシスタントなどが私たちに合わせて自動で変化する「生体適応型AIプラットフォーム『Sync OS』」の研究開発を進めています。
6G時代に実現する、AIが「あなた」を理解する世界
XGモバイル推進フォーラムは、Beyond 5G/6Gといった次世代のモバイル通信技術を推進する団体です。6G時代には、通信は単に情報を速く送るだけでなく、AI、センサー、ロボット、ウェアラブルデバイスなどと密接に連携し、人間や環境の状態をリアルタイムで理解し、それに合わせて最適化する基盤となると考えられています。
FastNeuraは、この次世代通信インフラと、人間の状態を捉えるニューロサイエンス(脳神経科学)や生体センシング技術を結びつけることで、人間とAIが互いに理解し、共に進化する社会の実現を目指しています。
「Sync OS」が変える、日々の体験
講演では、「Sync OS」が具体的にどのような体験をもたらすかが紹介されました。例えば、脳波や心拍から私たちの集中度や疲労度を推定し、その状態に合わせてAIアシスタント、自宅の照明や空調、移動中の車内環境、ロボット、そして身につけるデバイスなどが連携して、私たちにとって最適な状態を作り出す仕組みです。
これまでの「人間が機械に指示を出す」という一方的な関係から、「AIや環境が人間の状態を理解し、自然に適応してくれる」という、よりスムーズで直感的なインターフェースへの転換が可能になります。これにより、人間拡張(技術によって人間の能力が向上すること)、環境知能(環境自体が賢くなり、人間に合わせて最適化されること)、スマートホーム、モビリティ、産業現場、ヘルスケア、AIアシスタントなど、幅広い分野での新しい社会実装が期待されています。
日本の強みとニューロサイエンスの融合
日本は、通信インフラ、電子部品、素材、センサー、デバイス、ロボティクス、製造技術といったハードウェア分野において世界的な強みを持っています。FastNeuraは、これらの日本の強みと、ニューロサイエンス、生体信号解析、AIによる状態推定技術を組み合わせることで、人間の状態に合わせた次世代の環境知能を実現できると考えています。
想像してみてください。自宅では、あなたの睡眠や疲労、ストレスの状態に応じて、照明の明るさ、エアコンの温度、流れる音楽、香りが自動で調整されるかもしれません。車の中では、ドライバーの眠気や緊張をAIが察知し、車内環境や運転支援システムが適切にサポートしてくれるでしょう。オフィスや工場では、働く人の集中度やストレスを把握し、作業環境の最適化や休憩の提案、情報提示を通じて、生産性向上やウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)の向上に貢献することも期待されます。
AIは「パートナー」へ
FastNeuraが目指すのは、AIが人間の代わりになる社会ではありません。そうではなく、AIが人間の状態を深く理解し、人間の能力や可能性を広げる「パートナー」として共に進化する社会です。
私たちは、集中している時、疲れている時、ストレスを感じている時、あるいは何か違和感を覚えている時など、自分の内面的な状態を正確に言葉で表現するのが難しいことがあります。FastNeuraは、脳波や心拍などの生体データを通じて、こうした言葉にならない私たちの内面的な状態をAIが理解できる形に変換します。そして、AIアシスタント、住環境、モビリティ、ロボット、業務システムなどが、人間の状態に合わせて自然に適応する仕組みを構築しています。
これにより、AIは単なる画面の中の存在にとどまらず、照明、空調、音、香り、デバイス、移動空間、作業環境など、私たちの日常空間全体を通じて、集中力、回復、安心感、安全性、創造性を支える「環境知能」へと発展していくことでしょう。FastNeuraは、AIと人間の関係を、命令と応答の関係から、状態の理解と相互適応に基づく共進化の関係へと転換し、人間の可能性を日常の中で自然に拡張する社会の実現を目指しています。
今後の展開
FastNeuraは、今回の講演を機に、XG/6G、次世代通信、素材、センサー、デバイス、ロボティクス、AIアシスタントといった幅広い分野の企業や研究機関との連携をさらに強化していく方針です。今後は、次世代通信と生体センシングを組み合わせたリアルタイムでの状態推定、スマートホームやモビリティにおける環境制御、産業現場での安全性・生産性向上、AIアシスタントとの生体適応型インターフェースなど、多岐にわたる領域での共同研究や実証を進めていくとのことです。
日本の持つ次世代通信・素材・デバイス・製造技術の強みと、FastNeuraのニューロサイエンス×AI技術が融合することで、人間拡張と環境知能の社会実装が加速していくことでしょう。
XGモバイル推進フォーラムについて
XGモバイル推進フォーラム(XGMF)は、Beyond 5G/6G時代に向けた次世代モバイル通信技術の推進、産官学連携、社会実装を目的としたフォーラムです。2024年4月1日に設立されました。
株式会社FastNeuraについて
株式会社FastNeuraは、東京大学発のニューロテック・スタートアップです。脳波・心拍等のマルチモーダル生体データとAIを活用し、人間の認知状態・情動状態・コンディションを推定する技術、および環境・デバイス・AIエージェントと接続する生体適応型AIプラットフォーム「Sync OS」の研究開発を行っています。
FastNeuraは、AIが人間の明示的な入力を待つのではなく、人間の状態を理解し、住環境、モビリティ、ロボット、業務システムなどが自然に適応する「環境知能」の実現を目指しています。環境知能の実現により、人間の集中、回復、ストレス緩和、安全性向上、意思決定支援を日常空間の中で自然に支える社会の創出に取り組んでいます。
- 公式サイト: https://fastneura.com/