日本のMID(成形回路部品)市場が急成長、小型化技術が未来を拓く
近年、私たちの生活に欠かせないスマートフォンやPC、自動車といったあらゆる電子機器は、より高性能に、よりコンパクトに進化し続けています。この進化の裏側で重要な役割を担っているのが、「MID(Molded Interconnect Devices:成形回路部品)」と呼ばれる技術です。このたび発表された調査レポートによると、日本のMID市場は2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)14%で拡大し、2035年末には4億6,800万米ドルに達する見込みです。

MID(成形回路部品)とは?私たちの生活を豊かにする見えない技術
MIDとは、樹脂などの立体的な部品の表面に、電気を通す回路を直接形成する技術のことです。これまでの電子機器では、平面的な基板に部品を配置するのが一般的でしたが、MID技術を用いることで、部品そのものを立体的な形状にし、その表面に回路を組み込むことが可能になります。これにより、製品はより小型化され、軽量になり、設計の自由度も格段に向上します。
市場成長を牽引する主要因:半導体、AI、そしてモビリティ
日本のMID市場の急成長は、いくつかの強力なトレンドによって支えられています。主な要因は以下の通りです。
-
半導体およびAI関連への投資拡大: AI(人工知能)技術の進化は、高性能な半導体チップの需要を飛躍的に高めています。MIDは、これらの高性能チップを小型デバイスに効率的に組み込む上で不可欠な技術です。
-
データセンターの大規模な増設: 膨大なデータを処理するデータセンターの需要増も、関連する電子部品市場を活性化させています。
-
政府による半導体生産への巨額の資金投入: 国内での半導体生産強化に向けた政府の取り組みが、市場全体の底上げに貢献しています。
これらの投資の動きは、自動車の電動化、産業用ロボット、医療機器の小型化といった分野における日本の優位性によってさらに加速しています。これらの分野では、いずれもMID技術が実現する、極めて小型かつ軽量で立体的な集積回路が不可欠だからです。
例えば、米国国際貿易局(ITA)は、日本のAI市場規模が2024年の89億米ドルから2029年には279億米ドルへと拡大すると予測しており、AIのイノベーションと導入を促進する政府の取り組みを背景に、ヘルスケア、製造、金融などの各分野で需要が高まると見られています。このようなAI市場の拡大は、MIDの需要をさらに押し上げるでしょう。
LDS技術が市場をリード:精密な小型化を実現
MID市場の中でも特に注目されているのが、「LDS(レーザー・ダイレクト・ストラクチャリング)」という技術です。このLDSサブセグメントは、2035年末までに市場全体の49.6%という最大のシェアを占めると予測されています。
LDS技術は、コンピュータ制御のレーザーを用い、複雑な形状の熱可塑性樹脂部品に高精度な3D回路パターンを直接形成することを可能にします。これにより、従来の部品と比べて大幅な軽量化と組み立てコストの削減が実現します。例えば、住友ベークライトは2021年2月に、LDS-MID向けの熱硬化性成形材料を開発しました。これは、耐熱性と寸法安定性を向上させつつ、3D回路の形成を可能にするもので、自動車、医療、電子機器、半導体といった分野での小型・軽量部品の実現を支えています。
三重県がMID市場の成長を牽引する地域戦略
地域別に見ると、三重県が日本のMID市場において重要な役割を果たすと見込まれています。同地域は、先端エレクトロニクスおよび自動車製造の重要な産業拠点であり、世界的な自動車ティア1サプライヤー、半導体関連施設、精密電子部品メーカーが集中しています。
特に、近隣の愛知県と連携する主要な自動車産業ネットワークにおいて重要な生産ハブとしての機能を果たしており、EV(電気自動車)用部品、先進運転支援システム(ADAS)、統合型センサーモジュールといった、3D成形回路を多用する次世代技術への需要拡大を的確に捉えています。三重県の技術エコシステムや有利な産業立地政策は、半導体や先端材料企業からの投資を呼び込み、高信頼性MIDの大量生産を可能にする最適な産業集積地となるでしょう。
未来のデバイスを形作るMIDの可能性
MID技術の進化は、私たちの身の回りにある電子機器に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。例えば、現在お使いのスマートフォンやPCが、MID技術によってさらに薄く、軽くなり、バッテリー寿命も延びるかもしれません。また、ウェアラブルデバイスや医療機器は、より身体にフィットし、快適に使えるようになるでしょう。
MIDは、目に見えないところで私たちの生活を豊かにし、スマートな社会の実現に貢献する、まさに未来を形作る技術と言えます。この技術がさらに発展することで、きっと、これまで想像もしなかったような革新的な製品やサービスが次々と生まれてくることでしょう。今後のMID市場の動向に、ぜひご注目ください。
主要プレーヤー
日本のMID(成形回路部品)市場における主要なプレーヤーは以下の通りです。
-
Taiyo Holdings Co., Ltd.
-
Sankyo Kasei Co., Ltd.
-
Nissei Co., Ltd.
詳細情報
本調査レポートの詳細については、以下のリンクからご確認いただけます。
-
詳細な洞察はこちら: https://www.researchnester.jp/industry-reports/japan-molded-interconnect-devices-mids-market/1096
-
無料サンプルレポートはこちら: https://www.researchnester.jp/sample-request-industry-1096
-
お問い合わせフォーム: https://researchnester.jp/contact
-
Research Nester Japan公式サイト: https://researchnester.jp/