モバイルバッテリーの安全性を高める新基準「安全性・品質ガイドライン」が登場
スマートフォンやタブレットなど、私たちの生活に欠かせないモバイル機器の充電に便利なモバイルバッテリー。しかし、その一方で、モバイルバッテリーに起因する火災事故が年々増加していることをご存知でしょうか。
東京消防庁の公表資料によると、モバイルバッテリーによる火災事故は過去最多水準に達しており、その背景には、インターネット通販などで流通する製品の品質管理が不透明なケースがあることが指摘されています。

こうした状況を受け、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)は、モバイルバッテリーの安全性と品質向上を目指し、「モバイルバッテリー安全性・品質ガイドライン」を策定しました。これは、消費者が安心して製品を選べるようになるための、新しい目安となるものです。
ガイドライン策定の背景にある課題
モバイルバッテリーの事故増加の背景には、製品の安全性を示す「電気用品安全法(PSE)」に基づく法令対応だけではカバーしきれない問題があるとされています。
例えば、中には製品本体にPSEマークがないものや、内部の品質に問題があるケースも確認されています。



MCPCでは、製造プロセスの継続的な管理や、万一事故が発生した際のアフターサービス体制の重要性に着目し、専門家による検討を重ねてきました。この取り組みは、経済産業省とも意見交換が行われ、同省の製品安全小委員会でも紹介されています。

「安全性・品質ガイドライン」のポイント
今回策定されたガイドラインは、電気用品安全法(PSE)とは異なり、製造工程の管理体制、製品の追跡可能性を示す「トレーサビリティ」、そして購入後のアフターサービス体制までを含めた、業界横断的な指針です。
具体的には、モバイルバッテリーに内蔵されているリチウムイオン電池(スマートフォンなどに使われている充電式電池)の製造品質向上を目指し、サプライヤーへの管理強化、トレーサビリティの強化、X線検査による確認などが盛り込まれています。また、バッテリーベンダーがお客様問い合わせ窓口を設置しているかといったアフターサービス体制についても定められています。

このガイドラインは、MCPCのウェブサイトからダウンロードして利用できます。
今後の展望と消費者ができること
このガイドラインは、既存の法令適合製品や特定の製品・事業者の優劣を示すものではなく、また法令に基づく認証や第三者認証を代替するものでもありません。しかし、将来的には関係機関との情報共有を通じて、公的規格化も視野に入れ、社会的な議論の参考となる取り組みとして発展させていくことが期待されています。
MCPCでは今後、このガイドラインに基づく評価方法や運用の具体化について検討を進める予定です。詳細については、準備が整い次第改めて発表されるでしょう。
安全なモバイルバッテリーを選ぶことは、快適なデジタルライフを送る上で非常に重要です。このガイドラインが、あなたがより安心してモバイルバッテリーを選び、利用するための一助となることを願っています。