連絡手段を失った人々の「見えない孤立」
株式会社アーラリンクが、料金滞納などを理由に携帯電話を持てなかった経験のある男女682名を対象に行った実態調査では、行政支援へのアクセスと通信手段の密接な関係性が浮き彫りになっています。
調査結果によると、携帯電話が持てなくなった際に「どこに相談すればいいか分からなかった」と回答した人が40.3%と最も多く、次いで「市役所・区役所などの行政窓口」が22.8%でした。これは、通信手段を失うことが、情報入手経路や社会との繋がりそのものを断ち、孤立を深める要因となっていることを示唆しています。

行政支援の「手続きの壁」と長期化する困難
連絡先がないことで、行政窓口での手続きがスムーズに進まなかったり、本来受けられるはずの公的支援を得にくかったと感じる人は全体の42.2%に上ります。実際に支援を求めて行動した人に限ると、その割合は64%にも達しました。

「電話しても『折り返します』と言われたまま連絡が来なかった」(30代男性)、「支援先に連絡するためテレホンカードを持ち歩き、公衆電話の場所を覚えるしかなかった」(50代男性)といった声からは、連絡手段がないことによる手続きの滞りが、支援を求める意欲すら削いでしまう深刻な状況がうかがえます。
さらに、携帯電話を持てない状態から契約にたどり着くまでにかかった期間については、41.8%が「半年以上」と回答しており、約10%が「3ヶ月〜半年」と続いています。

「働かないと契約できない。契約がないと働けない。もう生きている意味がないと感じたこともあった」(40代女性)という切実な声は、通信手段の欠如が仕事探し、住まい探し、そして行政支援の手続きすべてを妨げ、社会復帰への大きな障壁となっている現実を物語っています。
携帯電話は「社会参加の入口」
今回の調査結果は、携帯電話が単なる贅沢品ではなく、行政支援、就労、住居、福祉といった「社会参加の入口」であることを明確に示しています。
総務省の「令和5年通信利用動向調査」によれば、世帯におけるスマートフォンの保有率は約90%に達し、多くの行政サービスがこの前提でオンライン化を進めています。しかし、この「9割の前提」からこぼれ落ちた人々への配慮がなければ、「誰一人取り残さないデジタル化」の実現は困難です。
デジタル庁も「行政手続等の棚卸結果等について」でデジタル化を推進していますが、その実効性を高めるためには、まず「通信にアクセスできない層の存在」を前提とした制度設計が不可欠です。
通信手段を失った人々に「連絡手段」を保証することは、個人の生活再建を支援するだけでなく、行政コストの最適化や社会全体のデジタル化の底上げにも繋がる、合理的な社会投資と言えるでしょう。
株式会社アーラリンクは、通信困窮者支援事業「誰でもスマホ」を展開しており、この社会課題の解決に向けて取り組んでいます。
「つまずいても何度でもやり直せる機会を持つことができる社会へ。一人の人間への『通信』という投資が、経済を回し、持続可能な未来を作ると信じています。」と、同社代表取締役の高橋翼氏は語っています。

通信という基本的なインフラへのアクセスが、より多くの人々にとって当たり前になることで、誰もが社会に参加し、再起できる機会が保障される未来が期待されます。



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