2026.06.25 業界最新情報

量子コンピュータ時代のセキュリティを先取り!STマイクロエレクトロニクスが耐量子暗号対応の次世代モバイルチップ「ST54M」を発表

ST54M:量子コンピュータ時代のセキュリティをモバイルに

STマイクロエレクトロニクスは、この耐量子コンピュータ暗号に対応した、世界初のセキュア・モバイルチップ「ST54M」を発表しました。このチップは、将来の量子耐性セキュリティ要件を満たすことを目指して開発された最先端のシングルダイソリューションです。

ST54Mチップのイメージ

ST54Mの大きな特徴は、耐量子コンピュータ暗号処理を実行するための専用ハードウェア回路を搭載している点です。さらに、NFCコントローラ、セキュア・エレメントIC、eSIM機能といった、モバイル端末に不可欠な要素を一つのチップに集積しています。これにより、モバイル端末や電子機器メーカーは、将来のセキュリティ要件に対応した製品を効率的に開発できるようになります。

耐量子コンピュータ暗号とは?

耐量子コンピュータ暗号(Post-Quantum Cryptography: PQC)は、量子コンピュータが現在の暗号方式を破ることができるようになっても、安全性を維持できるように設計された暗号技術です。現在のインターネットやデジタル通信で広く使われている公開鍵暗号は、素因数分解などの数学的問題の困難性に基づいています。しかし、量子コンピュータはこれらの問題を効率的に解くアルゴリズムを持つため、既存の暗号システムが危殆化する恐れがあります。PQCは、このような量子コンピュータの攻撃に耐えうる新しい数学的問題に基づいた暗号方式であり、デジタル社会の安全を将来にわたって確保するために不可欠な技術です。

多様なコネクテッドサービスをセキュアに

ST54Mは、非接触型決済、交通機関での電子チケット、入退出管理、デジタル身分証明書、運転免許証、デジタルカーキーなど、幅広いユースケースに対応します。これらのサービスにおいて、ユーザーはこれまでと変わらない利便性を享受しながら、より強固なセキュリティで保護されることが期待されます。

モバイル端末が私たちの生活の中心となるにつれて、金融取引、本人確認情報、通信事業者サービスなど、取り扱う情報の重要性は増しています。ST54Mは、このようなニーズに応え、セキュリティ、パフォーマンス、利便性を損なうことなく複数の機能を統合するソリューションを提供します。

ST54Mに関する詳細情報は、STマイクロエレクトロニクスのウェブサイトで確認できます。

セキュリティとシステム統合の最適化

ST54Mは、PQCの一つであるML-KEMとデジタル署名アルゴリズムML-DSAを搭載しており、ハイブリッド暗号から完全な耐量子コンピュータ暗号へのスムーズな移行をサポートします。このハードウェアエンジンは、サイドチャネル攻撃やフォールトインジェクション攻撃(故障注入攻撃)といった物理的な攻撃からの保護も強化するように設計されています。

また、STマイクロエレクトロニクスは、ST54Mだけでなく、STM32マイクロコントローラに内蔵されるソフトウェアライブラリとして、耐量子コンピュータ暗号に対応したNesLib-PQMLX-CUBE-PQCも提供しており、幅広い製品でのPQC導入を支援しています。

ST54Mは、国際規格Common Criteria 2022に基づいた欧州連合のICT製品向け共通サイバーセキュリティ認証制度EUCCに準拠しており、2026年7月にはEMVCo認証の取得を目標としています。これらの認証は、セキュリティに敏感なモバイルアプリケーションにとって重要な信頼の証となるでしょう。

ST54Mは現在、顧客向けにサンプル提供が行われており、量産および認証取得は2026年7月を目標としています。このチップは、顧客やパートナー企業が2030年頃までに義務化される見込みの、厳しい業界主導型の市場展開要件に対応するための十分な時間を提供し、耐量子コンピュータ暗号処理対応製品の市場投入を可能にすると考えられます。

STマイクロエレクトロニクスに関する詳細は、公式ウェブサイトをご覧ください。

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